第7回 がん治療用加速器について

当社事業の柱のひとつである医療メンテナンス、取り扱いますがん治療用X線装置(直線加速器(リニアック)装置)、重粒子線装置は、近年がん治療における放射線治療のニーズ拡大により応用範囲が拡がり、世界中で装置設置台数が増加しています。

とりわけ弊社事業に関係の深い粒子線がん治療装置は、現在日本に以下の24施設(重粒子線6、陽子線17、重粒子・陽子線両方1)があります。

1 北海道 3

北海道大学病院陽子線治療センター

札幌禎心会病院陽子線治療センター

大野記念病院 札幌高機能放射線治療センター

2 東北 2

山形県 山形大学医学部東日本重粒子センター

福島県 南東北がん陽子線治療センター

3 関東 5

群馬県 群馬大学医学部附属病院 重粒子線医学研究センター

茨城県 筑波大学附属病院 陽子線医学利用研究センター

千葉県 国立がん研究センター東病院

千葉県 量子科学技術研究開発機構QST病院(旧放医研病院)

神奈川県 神奈川県立がんセンター 重粒子線治療施設

4 中部 4

長野県 相澤病院 陽子線治療センター

静岡県 静岡県立静岡がんセンター

愛知県 社会医療法人明陽会 成田記念陽子線センター

愛知県 名古屋陽子線治療センター

5 北陸 1

福井県 福井県立病院 陽子線がん治療センター

6 近畿 6

京都府 京都府立医科大学 永守記念最先端がん治療研究センター

  大阪府 大阪重粒子線センター

大阪府 大阪陽子線クリニック

奈良県 高清会陽子線治療センター

兵庫県 兵庫県立粒子線医療センター

兵庫県 兵庫県立粒子線医療センター付属神戸陽子線センター

7 中国 1

岡山県 岡山大学・津山中央病院共同運用 がん陽子線治療センター

8 九州 2

佐賀県 九州国際重粒子線がん治療センター

鹿児島県 メディポリス国際陽子線治療センター

 

以上は、治療用の放射線として、重粒子(炭素イオン)、陽子を利用するものですが、

近年実用化されつつある治療技術として、中性子捕捉療法(BNCT: Boron Neutron Capture Therapy)があります。以前は、原子炉からの中性子線が用いられてきましたが、加速器から発生する中性子を利用する装置について以下の開発機関による取り組みが始まっております。

1 京都大学原子炉実験所

2 一般財団法人脳神経疾患研究所 南東北BNCT研究センター

3 国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院、

4 いばらき中性子医療研究センター、筑波大学、高エネルギー加速器研究機構、

日本原子力研究開発機構、北海道大学

 

具体的技術内容は、第4回コラムで紹介した「加速器ハンドブック」(日本加速器学会 編、発行元 丸善出版株式会社)の第17章医学利用に、放射線、加速器の医学応用(診断、治療)の技術概要と最新動向がまとめられていますので、関心をお持ちの方は是非参照下さい。

第5回 医療メンテナンスについて

当社事業の柱のひとつである医療メンテナンス、取り扱いますがん治療用X線装置(直線加速器(リニアック)装置)、重粒子線装置は、近年がん治療における放射線治療のニーズ拡大により応用範囲が拡がり、世界中で装置設置台数が増加しています。

我が国では、1000台を超える従来型の直線加速器(リニアック)装置に加えて、陽子線、重粒子線を用いた粒子線装置が30台近く導入され(1994年~)、放射線治療において重要な役割を果たしております。世界で稼働中の重粒子線装置は60台余(1990年頃~)ですので、日本は有数の重粒子線治療大国となってきています。

重粒子線装置で加速する粒子は、陽子、炭素イオン、主加速器はシンクロトロン、サイクロトロンです。世界ではシンクロトロンとサイクロトロンがほぼ同数、日本はシンクロトロンが多く、米国はサイクロトロンが多いようです。

直線加速器(リニアック)装置のX線エネルギーは通常4~18MeV、重粒子線装置の最大粒子エネルギーは230~250MeVが主流です。

当社は主にリニアック、シンクロトロンを対象としたメンテナンスサービスを行っており、当社技術者は重粒子線装置の運転・メンテナンス経験も有しております。

また、第4回コラムで紹介した「加速器ハンドブック」(日本加速器学会 編、発行元 丸善出版株式会社)の第17章医学利用には、放射線、加速器の医学応用(診断、治療)の技術概要と最新動向がまとめられていますので、関心をお持ちの方は是非参照下さい。